頭の運動

問題No.3277 【推理クイズ】『僕』は人形じゃない

出題者:zon◆[674a9f3]

研究者たちが部屋を出て行くと煩い位に早く打つ鼓動しか聞こえなくなった。
僕は体中に色様々なコードを貼り付けられてベッドの上にいる。コードの先には僕のオリジナルがいて、1日前の僕の行動をなぞった夢を見ている。
なんだかお互いを操り合うマリオネットみたいだなと自嘲気味に笑った。

クローン。
自分がそういう存在だと両親に聞かされたのは7歳の頃。
生まれながらの難病で特殊な薬剤の充填されたカプセルの中でしか生命活動を維持できないオリジナルの代わりに色々な経験を積むためにつくられたのだそうだ。
おでこ同士をくっつけると記憶のやり取りができるマンガを見たことがあるけど、僕達は同じようなことを最新鋭のコンピュータを使って行った。
僕の1日の脳の動きと肉体的な変化を分析しデータを加工、あとはオリジナルの脳に24時間かけて電気信号を走らせるのだとか。まったくチンプンカンプンだ。
そういえば、デモンストレーションで海を見たことがある。コンクリートの壁に色鮮やかな夕焼けがオーバーラップしてくると、リノリウムだった足元には寄せては返す波。いつしか僕は現実感が崩壊したまま海辺に一人立ち尽くしていた。

画期的な治療法が発見されたのだと両親に聞かされたのは14歳の初夏。
つい1時間前のことだ。
いつになく興奮して、まだ話してはいけないのだと言われたのだけど、と前置きしてから父さんは語りだした。要約するとこうだ。
『もうすぐお前は家族の許に帰ってくるんだよ』
オリジナルの殺害を決意した瞬間だった。

アドバンテージは僕にあった。身体中にコードを貼り付けられてデータを取っている部屋の中にオリジナルがいる。そしてデータの異変に気付いて研究者たちが駆け込んでくる10分の間に全てを終えられる自信があった。なにより父さんがフライングで僕に話した事実――殺意の発生――を誰も知らない。

僕は呼吸を整えて身体を起こし、コードを引きちぎった。
途端に視界が歪み、一気に暗転。10分経とうと20分経とうと闇が広がるばかりだった。

問 このあと『僕』は残酷な真実を知ることになるのですが、それを表すカタカナのキーワードを問題中から抜き出して入力してください



※ 問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実際に存在するものを示すものではありません。

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『僕』は人形じゃないへの最新コメント

[35163] (無題)
 投稿者::zon◆[2eab102] 投稿日時: 2007-08-16 19:27:46
れたれたさん、コメント遅れてすみません。
技術があればやってもおかしくないとは思いますが、
それによって不幸せな心が生まれるのはいやだなぁと思います。
ありがとうございました。
[34359] (無題)
 投稿者::れたれた◆[22ffdcd] 投稿日時: 2007-08-07 16:06:58
↓予断× 余談○でした。
[34358] (無題)
 投稿者::れたれた◆[22ffdcd]#[正解者] 投稿日時: 2007-08-07 16:05:54
これが問題や解説にあるようなことをする時代がやってくるのでしょうか。
予断ですが zonさんの問題大好きで遡ってやってみてるのですが
最近の「その他」カテゴリのやつが全然わからなくて困ってます。
[33500] (無題)
 投稿者::zon◆[98f2b76] 投稿日時: 2007-07-28 23:58:59
有希さん、コメントありがとうございます。
気に入っていただけたようで何よりです。
ありがとうございました。
[33348] (無題)
 投稿者::有希◆[d51c358]#[正解者] 投稿日時: 2007-07-26 12:28:50
とても面白い、でも哀しいお話でした。
いつか彼が「オリジナル」になれる日がくるといいですね。
ありがとうございました。


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『僕』は人形じゃないの情報

問題作成日:2007-05-25
解答公開日:2007-08-25
正解率:8% (正解回数:313 解答回数:3515)

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