問題No.5860 【推理クイズ】コンビニ店員の大失敗

出題者：猿乃輔◆[862dc18]

ここは都心から急行で40分程のとある郊外の駅近くのコンビニ。
俺は去年からこの店でバイトしている。
この町に大手企業の独身寮がいくつかあるせいか、
深夜零時を回っても、店内は多数独身と思われるサラリーマンでまだ賑わっている。
もうすぐ下りの最終電車が到着する。
最終電車から吐き出されたお客達が、誘蛾灯に集まる虫のように、
コンビニの明かりに誘われてまた何人も入ってくるに違いない。
立ち読みをする客、夜食のおにぎりを買う客、カップ麺を探す客、そして何も買わずに何食わぬ顔で出て行く客。
ふとレジの客が途切れて一息ついたと思った時、その男がレジに現れた。
紙パックの牛乳をひとつだけレジ台に置く中年のサラリーマンだった。
「192円になります」
バーコードリーダーで読み取りそう告げると男は千円札を差し出す。
「千円からでよろしいですか」
端数の2円を出す素振りがないのを確認してレジを打とうとした時、
何となく男の左腕が不自然にこわばっているのを感じた。
背広の下で、脇の下に雑誌を挟んでいるのがチラと見えた。
(あれは今日発売の週刊文秋)
そう言えば男はどことなくそわそわしているようにも見える。
(もしかして万引きか?)
深く考えずに思いつきですぐ行動してしまうのが俺の悪い癖だ。思うが早いかつい口をついて出てしまった。
「お客さん。失礼ですがその雑誌は?」男の脇の下を指差して俺は言った。
あとで考えれば、この行動が俺の失敗の全てだった。
「いや、これは･･･」男は咄嗟に口ごもって、脇の下を隠すような仕種をしたように見えた。
(万引き確定だ)
またも早とちりした俺は、手を伸ばして男の脇から週刊文秋を奪いとると、
「お客さん、困りますねえ。こういうことされちゃ」と声を上げていた。

レジを別の店員と交替してもらった俺は、バックヤードで男と対峙していた。
「ふざけるな。この雑誌は私のものだ。全くこんな屈辱は初めてだ」男は声を荒げた。
「ほう。では今日発売のこの雑誌をどこで買われました?」
男は会社の帰りに勤め先の最寄り駅の売店で買ったという。都心のオフィス街の駅名を男は口にした。
「レシートか何かお持ちですか」
「アンタは馬鹿か。駅の売店で雑誌一冊買ってレシート貰う奴がいるかね」
なるほど愚問だったかも知れない。
「私は普通だったら剥き出しの雑誌を持ってコンビニに入ったりはしない。
アンタのような馬鹿な店員に疑われても詰まらんからな。
だが、さっき電車の中で女房からメールが入ったんだ。帰りに牛乳一本買ってきてって。
だから仕方なくコンビニに寄ったんだ。
私は普段から鞄を持たないから、疑われないようにわざわざ雑誌を背広の下に挟んでな」
男の言い分は筋が通っていた。
さすがの俺も自分の勇み足だったのではないか思い始め、背中に冷や汗が滲むのを感じた。
しかし、俺も振り上げた拳を簡単に下ろすわけにはいかない。
「しかしですね、この雑誌が貴方がよそで買ったものであるという証拠もない」
無茶な主張であることは自分で分かっていた。これじゃほとんど言い掛かりだ。
ところが男から意外な返事が返ってきた。
「いや。証拠ならありますよ」
「え?」
「この雑誌がここで万引きしたものじゃないという、レシートなんかよりもっと確実な証拠がね」
そう言いながら、男がおもむろにその証拠を俺の前に差し出した。
その証拠を見せられた俺は、瞬時に自分の敗北を悟った。
(俺の早とちりはいっぺん死ななきゃ治らんな。こりゃ土下座して謝るほかない)

さて、男が見せた証拠とは一体何だったのか。
そのキーワードとなる言葉を、問題文中から連続した漢字二文字を拾って回答して下さい。


※　問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実際に存在するものを示すものではありません。

コンビニ店員の大失敗への最新コメント

なるほどとおもわされました。
確かに漢字２文字ならここしかないですね。

いい問題です。
ただ、おいらは和名よりもカタカナ８文字（略して４文字）が馴染み深いなぁ・・(^^;A

一時期私もはまったので・・・

前回まったくダメで　今日ボーッとみてたら・・ピーン　と来て
できました。　

へぇ〜。でも僕は苦手かも…

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コンビニ店員の大失敗の情報

問題作成日：2008-02-05
解答公開日：2008-08-05
正解率：4%　（正解回数：624　解答回数：14003）

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