問題No.23474 【推理クイズ】彼が私を殺す。後編
出題者:ファミチキください◆[5ea740a]
物音に反応した白井は、素早く銃を構え、ドアの方向に注意を向けた。
その後ろでは、中原が息を潜めて様子を伺っている。
静寂が戻ったかと思われたが、次の瞬間、ドアがゆっくりと開き、
若い巡査の顔が現れた。
「白井さん、大丈夫ですか?」
巡査の田辺が、息を切らしながら言った。
「あまりにも長い間戻らないので、様子を見に来ました。」
白井は大きく息をつき、銃を下ろした。
「田辺か。驚かせるなよ。状況は複雑だ。中原さんと話しているところだが、この事件にはまだ奥がありそうだ。」
田辺は不安そうな表情を浮かべながら、中原に目を向けた。
「この方は…?」
「彼女は被害者と繋がりがあるようだ。影に関する情報も知っていると言っている。
「白井は簡単に説明し、中原に改めて向き直った。「それで、影の話の続きを聞かせてくれ。」
中原は少しの間考え込むように目を伏せたが、やがて決心したように口を開いた。
「影というのは、言葉通りのものではないの。
あらゆる人間が持つ隠された欲望や恐怖、それが形を成したもの。
杉本さんは、それに囚われてしまった。」
「形を成した?」田辺が疑問の声を上げる。
「それは比喩的な話ですか、それとも…実際に何か実体があると?」
中原はその問いには答えず、バッグから一枚の写真を取り出した。
「これを見てください。杉本さんが亡くなる前に撮られたものです。」
白井が受け取ったその写真には、夜の街角を歩く杉本の後ろに、
影のようなぼんやりとした人影が映っていた。その人影は普通の人間とは違い、
輪郭が曖昧で、まるで霧の中に漂っているようだった。
「これは…何だ?」白井は目を凝らしたが、写真の中の影は不気味なほど存在感を放っていた。
「これが影の正体です。」中原は深刻な表情で続けた。
「そして、この存在が彼を追い詰めたのです。」
次第に事件の裏に潜む謎が、不可解な方向へと深まっていく。
そして白井は、この「影」を追う決意を新たにするが、
それが自分自身の運命をも変えることになるとは、まだ知る由もなかった。
白井は写真の「影」に目を凝らしながら、自分の頭の中で状況を整理し始めた。
この事件は単なる犯罪ではなく、心理的、あるいは超常的な要素が絡んでいるように見えた。
しかし、刑事として現実的な手がかりを追う必要があると強く感じた。
「この影と杉本が接触していた場所について、何か心当たりはないか?」白井は中原に尋ねた。
中原は短く考え込んだ後、静かにうなずいた。
「あります。彼がよく訪れていたバーがあります。
『シャドウズ』という名前です。そこが、彼の変化が始まった場所だと思います。」
「シャドウズ…影の名前と一致するな。」白井は興味深げに呟いた。
「それなら、そこに行って話を聞く必要がある。」
その夜、白井と田辺は『シャドウズ』と呼ばれるバーへ足を運んだ。
暗い照明とスモークガラスに包まれたその場所は、不気味な雰囲気を漂わせていた。
店内には、カウンターに一人のバーテンダーと少数の客がいるだけだった。
「お客さん、何にします?」バーテンダーが、慣れた手つきでグラスを磨きながら話しかけてきた。
白井は警察手帳をさりげなく見せながら尋ねた。
「杉本俊夫について話を聞きたい。ここに通っていたと聞いたが、覚えているか?」
バーテンダーは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに落ち着きを取り戻した。
「ああ、杉本さんね。よく来てたよ。でも、最近は様子が変だったな…何かに怯えているみたいだった。」
「何か具体的なことを話していたか?」白井はさらに問い詰めた。
バーテンダーはグラスを置き、小さな紙片をカウンターに置いた。
「これが、彼が最後にここに来たときに残していったメモだ。読んでくれ。」
その紙片には、乱れた筆跡でこう書かれていた。
「影は鳥籠の中にいる。」
白井は紙をじっと見つめながら思考を巡らせた。「鳥籠の中…?」
バーの奥にある鳥籠を見上げると、一瞬、何かが動いたように見えた。
背筋を凍らせるような感覚が彼を襲う。鳥籠の中に蠢く影。
それは、この事件を解き明かす鍵であり、新たな謎の始まりだった。
【問題】
影の正体をズバリお答えください。
※ 問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実際に存在するものを示すものではありません。
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彼が私を殺す。後編の情報
問題作成日:2025-03-17
解答公開予定日:2025-09-17
正解率:2% (正解回数:3 解答回数:136)
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