問題No.22648 【推理クイズ】闇が晴れたらブレイクタイムを

出題者：家が全焼した人◆[0d80f10]

瞬間、その狭い空間に闇が訪れた。
サラリーマン風の男が「わっ」と声をあげた。

「ど、どうかしましたか？」
「停電・・・みたいですね・・・照明が消えちゃった・・・」
ゲンジがそう問いかけると、サラリーマン風の男はそう答える。

ゴオオオォォ・・・という大きな音とともに、その狭い空間は揺れ、そして止まった。
「エレベーター止まっちゃいましたね・・・どうしよ・・・」

朝6時、いつもの日課の散歩に出ようとエレベーターに乗ったのが事のいきさつだ。
停電なのかは知らないが、とにもかくにもエレベーターが止まった。

「クッソ・・・9時までに書類を仕上げなきゃいけないのに・・・！」
サラリーマン風の男は、整えていないボサボサの髪を掻きむしりながら、独り言のようにつぶやく。

「オオムラさん、落ち着いて。携帯電話で助けを呼ぶことはできますか？」
その男とは対照的に、ゲンジは冷静に問いかける。
どうやらこのサラリーマン風の男は「オオムラ」というらしい。

「それが・・・今気づいたんですが、携帯を部屋に忘れたみたいで・・・」
まぁ、その髪を見れば分かる。大慌てで部屋を飛び出したのだろう。
恐らく、この位置は丁度エレベータの本来の停止位置で止まっている。
扉の隙間から、ほんのわずかながら光が差し込んでいるが、この2人がそれに気づくことはないだろう。

「オオムラさん、このエレベーターには緊急連絡用のボタンがあったと記憶してますが・・・」
「ああ、そうか！あ・・・でもちょっと待ってください・・・真っ暗でどこがどこだか・・・」
「では私が探しましょうか。」
ゲンジは手探りながらも、手際よく緊急ボタンを探し出し、それを押した。

その狭い空間に、呼び出し音のような機械音が鳴り響く。
電気は止まってるが、しっかりと動作するもんだ。古いエレベータながらもあっぱれだ。

「さ、さすがというか・・・こういう時頼りになります・・・」
「あ、ごめんなさい！皮肉とか、嫌味とかじゃなくて！！・・・スミマセン・・・」
オオムラはあたふたとものを言う。なんというか、苦労人なんだろうなぁと思う。

「いやいや、そう言葉を選んで頂かなくても。それに、いつだって助け合いですから。」
ゲンジは慌てるオオムラをたしなめながら、繋がったコール先に状況を伝える。

ゲンジはいつだって冷静で、穏やかだ。
こういう状況に陥っても崩さないその姿勢は、自分のことのように誇らしい。

「助けはすぐに駆け付けてくれるみたいですが・・・復電を待つことになりそうですね。まぁ、古いエレベーターなりに緊急停止が動作してくれたことを幸運に思いましょう。」

とにもかくにも・・・どうにかなりそうでよかった。

そこから暫しの沈黙が続いたが、その沈黙をゲンジが破る。
「闇というのは・・・」
「人の不安や恐怖心を煽る面がありながら、心を落ち着かせる面も持ち合わせているんですよ」
「動物が基本夜に眠るように・・・母のお腹の中が真っ暗のように・・・まぁ、これは私の持論ですが。」

「・・・ゲンジさんが言うと説得力がありますね・・・」

・・・・
「あっ」
事が起きて30分くらいだろうか。照明が再び光を帯びた。

「どうしました？」
「照明がつきましたよ！復電したみたいですよ！・・・よかったぁ〜」
ゲンジがそう問いかけると、オオムラはそう答える。

再びエレベータが仕事を始める。
1階のエントランスに着き、扉が開く。

玄関から覗く朝日の光が、眩しく差し込む。

「どうぞ、お先に。」
先ほどの調子とは打って変わって、オオムラが扉が閉まらないよう抑え、ゲンジに言った。

Q. しかし、このエレベーターを最初に降りたのはゲンジではありません。
最初に降りたのは？可能な限り明確にしたうえで、3文字でお答えください。


※　問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実際に存在するものを示すものではありません。

闇が晴れたらブレイクタイムをへの最新コメント

良問だと思いました。ありがとうございました。(^^)

　ヒントで解りました

なるほど、これは突然ひらめきますね！

謎自体も面白いし、さらにお話の読後感が最高で、とってもスッキリした気持ちになれました！
ありがとうございます！

こういう問題は分かったときに感動しますね。

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闇が晴れたらブレイクタイムをの情報

問題作成日：2019-04-03
解答公開日：2019-07-03
正解率：14%　（正解回数：150　解答回数：1013）

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