頭の運動

問題No.21574 【推理クイズ】惨劇の巨人

出題者:名前のない怪物◆[380ac18]

―続いてのニュースです。株式会社コネクトは有名企業appelを吸収合併する事が発表されました。
これによりコネクトは世界におけるおよそ70%の……

「また大きくなっていくのね…」

IT産業が発達し、人類はデジタルネットワークが整備しされた時代に生きている。
個人がどこにいても、世界の全てと繋がっているのだ。
だからひきこもっていたって、何の不自由もない。
情報端末から、僕はどんな情報でも得ることができる。
楽しいもの、感動すること、卑猥なもの。刺激も快楽も。
それで満たされないのは、少しの食欲くらいのものだ。
食事だけは母親に頼むしかないのだが、パイプを使って送り込んでもらっている。この空間を絶対に侵害させないためだ。
この部屋は水回りも整っていて、食べ残しや排泄物はすぐにきれいさっぱり流れていく。
一歩も外に出なくても、快適な生活を続けていくことができた。

* * * * *

ここにこもってからどれくらいの月日が経過したのだろう。
最初に僕を暴力的に、ここに閉じ込めたのは父親であった。
しかし、そんなことはもうどうでもいい。ここまで長引いたのは母親のせいだ。
だから、彼女が責任をもって面倒をみるのは、当然のことだ。それが母の罪であり罰でもあるはずだ。
端末に流れてくる情報は音声ソフトで読み上げてもらっている。
ある日、ふと気づいた。その声が、母親の声と酷似しているということに。
いろいろな考えが同時に浮かび、薄気味悪さが全身を包みこんだ。
思い出してみれば毎日トップページで僕に勧められるニュースは、親子関係についてのことがとても多かった。
そして、どうしてもアクセスできない情報が、たくさんあった。
母親が、この部屋に、この端末に繋がる情報を全部チェックし、フィルターをかけている。
母は、意図的に僕を閉じ込めているのだ。僕は総毛立った。
理由はいろいろと考えられる。
例えば、彼女は僕を自分の分身と考えていて、自分の思い通りにコントロールしようとしているのではないか。
或いは、彼女は子供を、僕を、溺愛しているのだ。別の女と愛し合ったりして欲しくない、だからここに閉じ込めて、独占しようとしているのではないか。
どの推測も、大なり小なり当たっているだろう。いずれにせよ気色が悪い。

そうだ、外に出よう。僕はそう思った。
一度出てみたら、楽しいかもしれないじゃないか。駄目だったらまた、ここに戻ればいい。
ああ、僕は今、やる気に満ちている。体中に力が湧いてきた。
僕は部屋の扉の前に立った。
鍵がかかっているのか、手でそっと押してみるが開かない。
強く押しても、やはりびくともしない。
足で思い切り蹴ると、「だめよ!英蓮(えれん)」と母の悲痛な声が聞こえてきた。
扉は、一旦開きかけるのだが、また押し戻される。外から母が強く押し返しているのだ。
「ダメよ〜、ダメダメ! そこから出たら、死んじゃうから」
母が泣き叫んでいる。僕はかっとなってさらに扉を押す手に力を込めた。
「母さん、僕、がんばるから。外に出て、がんばることにしたんだ」
「お前にはまだ早い!」
と、低い声が聞こえた。僕は驚いた。母だけではない。外に、父もいるのだ。
「おい、お前は誰にも、何にも期待されていない。出てくる必要など、ない!」
地獄の底から響いてくるような声だった。僕をこんなふうにしたのは、母だけの所為ではなかったということだ。
しかしそれを聞いて僕はますます必死になることができた。

僕だって人間なんだ。生きる権利があるはずだ。ドンッ!!、ドンッ!!。扉に、体当たりをした。
痛いわ、やめて! と、母親が泣く。畜生!僕はだまされて、この密室に、閉じ込められていた。
なのに、なんで、こんな状況を自分で気に入っているだなんて、信じ込んでいたんだ?
ドンッ!!、ドンッ!!。頭が血塗れになっていることに気づいたが、かまってはいられない。ドンッ!!。ドンッ!!!。
ついに、扉が開いた! 強い光が外から差し込んできて、目が眩んだ。さらに、耳を劈くような音響。機械の騒音のような、人間の歓声のような。
なんとか目をこじあけると、人間が見えた。2人。いや3人、4人、もっといる。皆、ものすごく大きい。巨人だ!!
やばい、殺される。僕はとてつもない恐怖を感じた。振り返る。扉はしっかりと閉じている。もう戻れないことを、本能的に理解した。
巨人たちは異様な服を着て、僕の理解できない言葉を口々に叫んでいた。こいつらは何だ?どういうことだ?駆逐してやる!
僕の血だらけの身体が震えた。藁にもすがる思いで伸ばした手に、長いパイプ状のものが触れた。
そうだ。これが、外の世界と僕の部屋を繫ぐ唯一の接点だった。これで、母は僕に情報と食事を送り込ってくれていたのだ。
ところが巨人の一人、超大型の巨人が僕からそのパイプをやすやすと奪い取り、鋭利な刃物でそれをぱちんと切断した。

【問題】
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漢字です。

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※ 問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実際に存在するものを示すものではありません。

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惨劇の巨人への最新コメント

[217088] (無題)
 投稿者::と◆[d4b121b]#[正解者] 投稿日時: 2015-11-08 00:01:37
ありがとうございました


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惨劇の巨人の情報

問題作成日:2015-10-25
解答公開日:2016-04-25
正解率:29% (正解回数:234 解答回数:802)

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