問題No.21402 【推理クイズ】二重生活

出題者：スッシー◆[8e70378]

「課長、週明けから顔色が悪いですよ。大丈夫ですか？」
私はPCを見つめたまま、不意に部下がかけてきた声で我に返った。
「加藤君、大丈夫だ。それより明日の重役会の資料の件だが。。」

その場をやりすごしたが、さすがに少し疲れたか。
私は妻子持ちの身でありながら、部下の一人と不倫している。もう、この関係は三年になる。

平日は会社での激務を言い訳にして横浜にある、妻子の待つ家に帰ることはない。表参道にある部下、河合玲奈のマンションに泊まるからだ。玲奈には離婚をしたと嘘をつき、春日部にある実家で親と同居していると言っている。

その実、週末はマイホームパパだ。

この三年近く、横浜と表参道と会社を行ったり来たりする、いわゆる二重生活をしている。

玲奈は美声の持ち主で、我が社の社内アナウンスを担当している。いけないとは思いつつ、私は玲奈の若い肉体に溺れた。かといって子供を手放すことはしたくない。自分の身勝手な言い分が自分の首を絞めている。

さすがに週末に会えないことについて、玲奈が不満をぶつけてきた。先週金曜、激しい口論をした。しかし、私にとってケンカをすることはむしろ好都合だった。ケンカの勢いを借りて表参道のマンションを飛び出せば、引き止められることなく、そのまま横浜で子供と週末を迎えられるからだ。

私は表参道で地下鉄に乗り込む。渋谷から東横線に乗り換え、横浜に向かった。ふと携帯のバイブが鳴る。玲奈からだった。普段はケンカした直後にかけてくることはない。悪い予感がした。幸いさほど混んでいない電車だったこともあり、私は着信をとった。

小声で今電車だから折り返すと言いかけたとき、玲奈は私に開口一番「何も言わないで私の話を聞いて」と泣きながら言い放った。

玲奈は自分が悪かったこと、根底には私に対する不信感があったが、私を心から愛している、週明けまた会いたい、といった内容を話してきた。五分ほど、私は彼女の話に耳を傾けていた。

二重生活を続けるのには疲れていたが、これで彼女の肉体をまだしばらくは失うことはない、と思い私は少し安堵した。

それも束の間、私はあることに気付き、全身が凍り付いた。

私は何故凍りついたか、その原因となる言葉を本文から抜き出してください。


※　問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実際に存在するものを示すものではありません。

二重生活への最新コメント

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ヒント見てから分かりました！
面白い問題ですね。

面白かったです。

ストーリーがあるので楽しく解けました。

ハッピーエンドとは言えない展開かもしれませんが、着眼点が面白いと思います。

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二重生活の情報

問題作成日：2015-06-25
解答公開日：2015-09-25
正解率：9%　（正解回数：406　解答回数：4191）

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