頭の運動

問題No.19248 【推理クイズ】JK奇談 第四夜【前編】

出題者:JK◆[9a78b25]

某月某日17時頃

『ったく、素直に売人を続けてれば良かったのに・・・』
『ゆ、ゆるしてくれ!』
『うるさい、クズ!』

アイツから殴り飛ばされた拍子に彼女からもらった腕時計が外れた。
文字盤の部分のガラスが砕けて、針が壊れている。
彼女がオレのために作ってくれた大切なものだったのに。

『もう遅いんだよ。既に警察はお前のことを嗅ぎ付けてる・・・だからわざわざこうして手間をかける羽目になったんだ』
『アンタのことは決して話さない!捕まっても知らぬ存ぜぬで通すから!!』
『一流大学卒業の割に頭が悪いな・・・確か、サクラコだったか、お前の女』
『!!!』
『女のために足を洗いたいとか思うからボロが出るんだよ・・・で、クズでもオレが言いたいこと、わかるな』

涙があふれた。櫻子・・・。
同じ文字を指したまま、小刻みに震えるだけの壊れた時計と一緒で、彼女と俺は一緒の時を刻むことは二度とない。

『・・・・頼む、最後に一言彼女に・・・・』
『面倒だな・・・じゃあ、ついで遺書も書いておけ?いいな?じゃないと・・・・』

(櫻子・・・、ゴメンな)


※※※※※


「辛うじて、顔を識別できるぐらいだな」
「・・・うぅ・・・」
「いい加減、なれろ」

警部にそうは言われたが、こればかりは。
それでもなんとか気を取り直し、運ばれていく遺体に合掌した。
署に一報が入ったのは、明け方のこと。
久しく人の出入りが途絶え、周辺地域も過疎が進んだ廃ビルで遺体が見つかった。
通報してきたのは、ビルの解体を依頼された作業員で。

携帯してあった免許証から、亡くなったのは木下大栗、32歳と判明。
木下には薬の売人として逮捕歴があり、最近また界隈で捌いているとの情報が署にも入っていたという話だ。
詳しくは知らされていないが、情報屋が一人亡くなっていて、それもこの薬がらみらしい。

木下は解体準備中のビルの屋上から落下したものと思われる。
それが誤ってなのか、故意なのか、ただ場所が廃ビルである以上、前者はないであろう。
現在は自殺と他殺の両方から捜査が行われているが、屋上からは二通の遺書が見つかっている。

「死亡推定時刻ですが、解体業者が昨夜依頼者と打合せに来ていたそうで、その時は異常はなかったそうです。それが22時ということなので、被害者は亡くなったのは昨晩22時以降と思われますが、詳しい時間は鑑識の報告待ちです。あと被害者は時計をきつく握っていたということで」

時計の入った袋を警部に渡すと興味深げにそれを眺めた。

「手作りっぽいな?」
「誰かからのプレゼントでしょうか?」

時計の文字盤が砕けているため、時計としては役にたたないが、事件性がある場合に亡くなった時間を特定するのに有力な代物だ。
だが、この時計は彼がきつく握りしめていて、どうやら亡くなる前に壊れていたと思われる。

「で、遺書のほうだが」
「遺書のほうですが、一通は付き合っていた女性に宛てたもので、もう一通はこちらになります」

警部に渡した遺書の表書きには、警察関係者様、と書いてあった。

『償いきれない罪を犯しました。
 薬の誘惑には勝てず、再び密売した薬を捌いてしまいました。
 そして、それを知られてしまい、思い余って人を殺してしまいました。
 もう後戻りができません。死んで償います。』

「死んだという情報屋がらみでしょうか?」
「・・・・」

警部は遺書を眺めていると捜査官の一人が走ってきた。

「お話し中、申し訳ありません!!警部、被害者の恋人という女性をお連れしました」
〜後編へ続く〜


※ 問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実際に存在するものを示すものではありません。

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JK奇談 第四夜【前編】への最新コメント

[119825] (無題)
 投稿者::(^−^)◆[9acced0]#[正解者] 投稿日時: 2013-07-16 16:48:21
前編・後編とも楽しんで読ませていただきました!





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JK奇談 第四夜【前編】の情報

問題作成日:2013-07-07
解答公開日:2013-10-07最終更新日:2013-07-07 01:26:24(更新回数:1)
更新内容:
--------------------
2013/07/07 (Sun) 01:20
リンク付けしなおしました。

正解率:1% (正解回数:16 解答回数:1148)

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