問題No.18116 【推理クイズ】輪廻の島の秘密

出題者：子供の落書き帳◆[11869ca]

【背景】
僕の一番古い記憶は島の砂浜を歩いていたことだ。それ以前のことは何も思い出せない。僕の住む『ゆりかご島』には同じように記憶を失った人達が住んでいる。そして島には普通では考えられないような不思議な現象がいくつも起こる。

まず島には季節の概念が無い。雨は時々降るが基本的に同じような日が続く。住人は全員が１８歳の若い青年たち。季節感が無いように、いくら月日を重ねようと住人達が老けることはない。そして島にはもうひとつ『黄泉がえり』と呼ばれる現象がある。

黄泉がえり。言葉のとおり島で死んだ人間は新しい命を与えられ蘇る。蘇るのは死んだ翌日の正午。島の中心にある『母なる樹』の根元から赤子の姿で生まれてくる。赤子はそこから２時間ごとに１歳ずづ歳を取り、翌日の２４時つまり３６時間後に１８歳の姿に戻る。そして成長は止まる。これが黄泉がえりである。

島のことをある人は死後の世界だと言った。またある人は夢の世界だと言った。本当のところは誰にも分からない。そもそも老けることのない平和な島で頻繁に”黄泉がえり”などという現象が起こるのはなぜなのか？それには理由がある。島には殺人鬼が出没するのだ。


【１日目】
ペーターが殺された。家の中で全身を刃物でぐちゃぐちゃにされているのを隣に住んでいるハンナに発見された。殺人鬼が人を殺すときは原型を留めないほどに死体を切り刻むのが特徴だ。ペーターの家の前に島民達が集まっていると、島ではリーダー格のジョナサンが皆に向かって言った。

「また殺人鬼が現れたようだ。前回の犯行から１０ヶ月ぶりだ。殺人鬼は凶行を始めると少なくとも１０人は殺す。今後は一人になることが無いように注意してくれ。あと何か不審な人物を見かけた者はすぐに知らせること」

ジョナサンは島民たちに注意を促した。ふと僕は隣にいたマナが青い顔をして震えているのに気付いた。マナは僕の恋人で気の弱い性格をしている。僕がどうしたのかと尋ねるとマナは少し大きな声で語り出した。

「わたし……見てしまったの。マリアがペーターの家に入って行くところを」

皆が一斉にマリアの方を向いた。マリアは一瞬、何のことかわからないといった感じで周囲から逃れるように後ずさった。

「お、お前がやったのか！」

島で一番の巨漢、タッドがマリアに詰め寄る。

「わ、わたしじゃない……」

「殺人鬼め！ 殺してやる！」

マリアはタッドの腕から逃れるように駆け出した。タッドは逃げるマリアを追って崖の方へ走っていった。僕らはすぐにその後を追った。

タタタタタ……

僕らは何度か見失いながらも懸命に二人の後を追う。海が見えてくると崖の上でタッドを見つけた。しかし、そこにマリアの姿は無い。

「落とすつもりじゃなかったんだ……押さえつけようとしたら崖の下に……」

崖の下を覗くとマリアの服の切れ端が浮いていた。

「ペーターもマリアも明日には蘇る。気にするな」

ジョナサンが冷たく言い放った。

【２日目】
夜が明けた。今日は昨日死んだペーターとマリアが蘇る日だ。昼の１２時になり僕は母なる樹へと向かった。二人とも赤子の姿ですやすやと眠っている。本当にマリアがペーターを殺したのだろうか？　赤ん坊の状態では前世の記憶が曖昧のため話を聞くにはある程度成長しなくてはならない。僕は家へと帰り赤ん坊をベットに寝かせた。赤ん坊と言えども注意は必要だろう。僕は部屋に鍵を掛けてマナの家に向かった。するとマナの家の前に人だかりができていた。嫌な予感がする……。

マナは胸をナイフで刺されて死んでいた。マナの家は村の外れにある。周囲に人は住んでいない。家の周りは昨夜から降り続けた雨で泥濘んだ状態になっていた。しかし、発見時に家の周囲に足跡は見当たらなかった。殺人鬼はどうやってマナの家まで行く事ができたのだろうか？

【３日目（午前）】
マイケルが村の畑で何者かに襲われた。誰かが畑の作物を盗もうとしていて、注意しようとしたら襲われたらしい。顔は見えなかったが女性だったとのこと。やはり殺人鬼はまだ島に潜伏しているのか？

ジョナサンの命令で殺人鬼の討伐隊が組まれることとなった。女性や子供達は家から出ないように注意された。マリアとペーターはもう十歳くらいまで成長していた。僕は二人に誰が来ても決して鍵を開けないように言い聞かせて討伐隊に参加した。

山の中を探索していると誰かが隠れていたような跡が見つかった。やはり殺人鬼は別に存在するのだ。隠れ家には血だらけの包帯や村から盗んできた食料が落ちていた。どうやら殺人鬼は負傷しているらしい。ジョナサンはこれは好機とばかりに森の奥を捜索すると宣言した。しかし、もうすぐマナが蘇る時間だ。僕は討伐隊から抜けて、一度村に戻ることにした。

【３日目（午後）】
村は炎に包まれていた。焼け落ちる家屋。逃げ惑う人々。殺人鬼が火を付けたのか？ 家に残してきた二人が心配だ。僕は自分の家と向かった。火はまだ家まで来ていない。早く二人を連れて避難しなければ。扉に手を掛けると鍵が開いていた。僕は静かに扉を開いた。部屋の中には惨劇が広がっていた。原型を留めないほどにズタズタにされた肉塊。僕が帰るまで扉を開けるなとあれほど言っておいたのに……。僕はマナを迎えに母なる樹に向かった。もう嫌だ。マナが蘇ったら二人で島を脱出するんだ。

母なる樹は燃えていた。これでもう誰も蘇らない。僕は目の前が真っ暗になった。

【？？？】
――どれくらいの時間こうしていただろうか。いつの間にか立ちすくむ僕の周りに火の手が迫っていた。マナを失った僕にはもう逃げる気力すら残っていなかった。ふと、目の前に誰かが立っているのに気が付いた。

「やっとみんな殺せたよ。あとは君だけだね」

僕は燃える炎の中で殺人鬼の姿を見た。

問題
殺人鬼の正体を入力してください。


※　問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実際に存在するものを示すものではありません。

輪廻の島の秘密への最新コメント

ご馳走様です

入れ替わりに時間差
密室に黄泉がえりの秘密

結局推理問題ではなく
「私の考えた小説です
　結末を想像してみてください」
という問題に

ネタバレになるから書けないが一か所、強引な所が気になって
混乱した。

怖おもしろかったです。

正解したけどちょっと怖い・・・

コメントをもっと見る／書く

輪廻の島の秘密の情報

問題作成日：2013-01-03
解答公開日：2013-04-03最終更新日：2013-01-04 22:55:42(更新回数：1)
更新内容：


正解率：27%　（正解回数：481　解答回数：1756）

子供の落書き帳さんの他の問題を見る