問題No.17740 【推理クイズ】そこで見たものは

出題者：のらねこ◆[aea544d]

「ちょっとぉー！しっかり持ちなさいよ！！」
深夜の住宅街に、美沙の声が響き渡る。

右肩で彼女を支え、左手で２人分のカバンを持ちながら圭一は思う。
「（今日はかなりゴキゲン斜めだな。はぁ〜、他の男の前ではあんなにブリっこなのに、どうしてオレには・・・）」
「圭一！いま何か言った？」
「い、いや、何も言ってないよ。何でもありません、はい！」


美沙は、圭一の中学のときの同級生。
圭一が父親の異動で転校したのは中2の6月。転入先のクラスに美沙がいた。しかも、転居先の家が美沙の家の隣だったのだ。
快活・・・というよりヤンチャで気の強い美沙が、引っ込み思案な隣人の転校生に業を煮やし、半強制的にあちこちに連れまわすようになったのが中2の夏休み。
二人はそれからの腐れ縁だ。

美沙にハッパを掛けられて一念発起した圭一が空手を始め、インターハイで3位に入ったのが2年生のとき。
もともと勉強ができる方だった圭一だが、これですっかり自信をつけたのか生徒会でも役員を務めるようになり、友人はもちろん先生たちからも一目置かれる存在となった。
しかし、いつまでたっても圭一はどうも美沙にだけは頭が上がらない。中2の夏から力関係が全く変わらないのだ。
厳しい受験を勝ち抜いた圭一は東京の大学に進学。2回生になった時に寮を出て、学校近くの学生用アパートで一人暮らしを始めた。
が、女子大に進学した美沙のワンルームマンションがたまたま近くにあったことを知らなかったのが運の尽き。
コンビニでバッタリ再開して以来、美沙は圭一を便利屋のように呼びつけてこき使うようになった。


「美沙、あんまり無茶な飲み方は・・・」
「ふん！知らないわよ、あんな変なヤツら！あ〜あ、他にもっといい男いないのかな〜」
「（そんなこと聞いてませんって・・・）」
どうやら合コンが首尾よくいかなかったようだ。
いつもこんな調子で、美沙は酔っ払うと圭一を呼び出して帰り道の荷物持ちをさせる。

それだけではない。
「牛乳がなくなったから帰りに買ってきて」だの、「明日は早く起きなきゃいけないからモーニングコールして」だの、そんなことは日常茶飯事だ。
バイト明けに部屋の模様替えを手伝わされたこともあった。
先月など、「買ったばかりのキャベツに虫がついている」なんて意味の分からない理由で呼び出された。
これには温厚な圭一もさすがに腹を立てたが、電話口の美沙の迫力に負けて駆けつけると・・・
目に入ったのは部屋の真ん中に投げ出されたキャベツと、片隅でブルブル震えながら叫んでいる美沙の姿。何事かと思いきや、キャベツについていたのは小さな小さなハエが1匹。
「なんだ、こんなのにビビってたのか。はっはっは」
大笑いした直後に美沙にボコボコにされた圭一だったが・・・この一件で美沙の女の子っぽい部分を見てしまい、それからというもの彼女のことが気になって仕方ないのも事実だった。


しかしそれにしても美沙の今日の酔い方はひどい。
いつもはマンションの入り口まで送ればお役御免なんだが、今日はそういうわけにはいかなそうだ。
美沙のカバンからオートロックのキーを取り出して鍵を開け、おずおずと部屋の中に入り、まだギャーギャーわめき続けている美沙をベッドに寝かせて、帰ろうとすると、
「圭一！今日は泊まっていきなさい！！」
「え？」
「昨日マンションの周りを変質者っぽい中年の男がうろついてたのよ。気味悪い。明日は学校もバイトも休みなんでしょ。」
「え、でも・・・」
「ただし、何か変なことしたら承知しないわよ！私はベッドで寝るからあんたは床で寝なさい。」
「はいはい、わかりました。」
下心にはしっかりクギを刺されたが、泊めてもらえること自体は悪い気はしない。
完全に酔っ払っている美沙の身も心配だ。ここは素直に彼女の言葉に従うことにした。


「しっかし、あいかわらず汚い部屋だな〜」
美沙の部屋に入るのはキャベツ事件以来一か月ぶりだが、前にも増して乱雑になっているようだ。
床には、ビールの空き缶やポテトチップスの食べカス、菓子パンの空き袋が散乱している。服やタオルも散らかり放題、ベランダの窓も開けっぱなしだ。
「あーあ、もう夏だってのに、まだストーブやホットカーペットも出しっぱなしじゃないかー」
「うるさいわねー！ちょっと散らかってたって死にやしないわよ。適当に片づけてその辺に寝なさい！」
「はいはい」
ベッド脇の床に広がる有象無象を部屋の隅に固めて1人分のスペースを何とか確保し、圭一はゴロンと寝転がる。
そして、何気なくベッドの方に視線を移すと・・・


「美沙！コンビニにつきあってくれ！！」
突然飛び起きた圭一は、美沙の腕をつかみ強い力で玄関の方に引っ張りだした。
「ちょっと、どうしたのよ圭一？」
「コンビニに用事があるんだ！」
「何よ。明日でいいじゃない。」
「いいから早く！！」
飲み過ぎでフラフラのところを叩き起こされて不機嫌極まりない美沙だったが、圭一のいつもは見せない強い口調と態度に気圧され、黙ってついていくしかなかった。

「いらっしゃいま・・・」
「すみません、今すぐ・・・」
コンビニの店員の挨拶が終わる間もなく、圭一はあることを店員に告げた。
圭一が、美沙の部屋で見たものは？

文字種制限なし、5文字以内。
文中から文字列を2つ抜き出して、つなげることで解答可能です。



※　問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実際に存在するものを示すものではありません。

そこで見たものはへの最新コメント

ヒント欲しいです泣

問題文の途中で、こんな都市伝説あったなぁと正解ワードを探しつつ、あらミスリードみっけ♪・・・？

初投稿作品です。
誰もがどこかで聞いたような話が元ネタですが、それを自分なりにアレンジして作ってみました。

拙い作品にたくさんのご回答をいただいてありがとうございました。

自分も怖いほうを想像して文字の組み合わせに迷ってしまい、視点を変えてみたら解けました！

もっと怖い答えを想像してしまいました

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そこで見たものはの情報

問題作成日：2012-09-26
解答公開日：2012-12-26最終更新日：2012-10-09 20:03:19(更新回数：3)
更新内容：
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2012/10/09 (Tue) 20:02
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2012/10/09 (Tue) 20:01
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2012/10/09 (Tue) 20:00


正解率：11%　（正解回数：215　解答回数：1933）

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