頭の運動

問題No.16545 【推理クイズ】ショタインザゲート 〜枯れた技術のラテラルシンキング〜

出題者:エロシャダイ◆[c753090]

すべては偶然だ
だがその偶然は、あらかじめ決められていた世界の意志でもあった
俺はイカれてなどいない。いたって正常だ
ここでは真実を語っているんであって、断じて厨二病の妄想なんかじゃない
……きっかけはほんの些細なことだとしても
それが、未来の大きな流れを決定付けてしまうこともある
バタフライ効果という言葉を知っているか?
知らないなら調べるのだ
それぐらいの慎重さが求められているのだということを理解しろ
残念ながら俺は慎重じゃなかった
自分の愚かさを分かっていたら“あいつ”を失うことになんてならなかった
未来を、こんな形にしてしまうなんてこともなかった
だが、分かるはずがないだろう?
その瞬間の自分の手に、人類すべての運命を決定付けるような、重大な分岐点のスイッチが握られているなんていうことは、分かるはずがないんだ
考えてもみるがいい
普段の人間の知覚は99%が遮断されている
人は自分で思っている以上に愚鈍な生き物なんだよ
普段の生活の中に埋もれている何気ないことなど気にも留めないし、知覚したとしてもすぐに忘れるか、脳が処理をしないかのどちらかなんだ
あのときの海老蔵に言ってやりたい
迂闊なことをするなと
軽率なことをするなと
見て見ぬフリをするなと
もっと注意を払えと
出かけるのをやめなさいと
陰謀の魔の手は、思った以上にずっと身近にあって、いつでもお前を陥れようと手ぐすね引いているのだと……!

* * *

おいそこの貴様!俺の声が聞こえているか!?…なぜ答えない…
モニターのそっち側にいる間抜け面の貴様だ!まぁいい、ここが近未来ガジェット研究所だ
この研究所の所属研究員を紹介しよう
まずはこの俺!ラボメンNo.001狂気のマッドサイエンティスト「横暴院狂魔」だ!
そしてラボメンNo,002コスプレ作りが趣味の「ゆりしー」!
最後にラボメンNo.003スーパーハカー「ダルビッシュ優」通称ダル!以上!

私の名前は穂村暁美(ほむらあけみ)。今日は私のラボメン初日であった。
インターホン越しにしゃべっていたのが、ここの所長の岡田…横暴院さんである。
ガチャリとドアを開けて中に入る。
横暴院「ようこそ、穂村暁美君、我がラボは君を歓迎するよ」
穂村「よ、よろしくお願いします。岡田…横暴院さん」
横暴院「ほ、本名で呼ぶんじゃない!まあいい、早速で悪いが君に仕事を与える。幻のレトロゲーム機『ファミコン』を手に入れてもらう」
穂村「ファ、ファミコンですか?でも、どうして?」
横暴院「実は先日、我々は世紀の大発明『タイムマシン』を完成させたのだが同時に“機関”に追われる身となったのだ。そして“機関”の陰謀を阻止するために必要なのがファミコンというわけだ。フゥーハハハ!」
穂村「き、機関ですか…」
ダル「っていう設定。でもオカリンがそんなゲーム機を知ってるなんてね。やるじゃん」
ゆりしー「はみこん?」
ダル「任天堂が1983年7月15日に発売したゲーム機」
ゆりしー「ギザ古すなあ」
横暴院「それが現在の日本橋にあるという都市伝説を聞いたことは?」
ダル「うんうん、あるある。1ヶ月前ぐらいにネットで話題になったなあ。で、その噂を聞きつけた2ちゃんの有志が、ポンバシ中のショップを探して回ったんだよ。あの『電光石火のレオンハルト』まで出張ってきたらしいけど、結局見つからなかったんだって」
横暴院「じゃあ都市伝説はデマだったということか?」
ダル「さあ、知らね。ポンバシにはアンダーグラウンドなショップがたくさんあるし。案外、どっかの怪しいショップにひょっこり転がっててもおかしくないんじゃね?」
横暴院「ふむ。なるほど」

* * *

私がラボの生活にも慣れた、ある日のこと。
いきなりドアが蹴破られた。
直後に見えたのは、ラボに押し入ってくるいくつもの黒い影。
あまりにも素早い動き。あまりにも訓練された鋭さ。そして向けられた、銃口。
私を含めて、この場にいた全員が、声を出す暇もなかった。
押し入ってきたのは、5人ほどの男たち。誰1人として、見覚えはない。
格好そのものは、派手な柄シャツに短パンだったりとカジュアルだ。
だが、半袖の服から伸びている腕はやけに太く。しかも、ゾッとするほどの鋭い眼光を放っている。
男たちが持っているのは、銃だった。

襲撃者「動くな。全員両手を挙げろ」
まるで夢。
それとも、映画の1シーン?
最初に両手を挙げたのはダルだった。
それから私。
ゆりしー。
沈黙。
停止。

クルーカットの男がおもむろにゆりしーに銃口を向けるのが見えた。
私は総毛立つ。
やめて――

パンッ!

乾いた音とともに。
すべてがスローモーションになった。
男の持つ拳銃。その引き金が引かれて。
パッと、ゆりしーの額から血が舞った。
私の顔に、温かい液体がかかった。
ゆりしーの、華奢で小さな身体が、私の方へ倒れ込んでくる。
それを受け止めた。
ゆりしーの身体は、まるで糸が切れた人形。
力なく、頭も手足も垂れて。
鼻を突く、硝煙の匂い。
そして、血の匂い。
ダル「わああああぁぁぁぁっ!」
ダルが絶叫して頭を抱え、その場でうずくまってしまった。
その声で私は我に返る。
私の腕の中。
死んだ。

ウソでしょ。ウソだって、言ってよ。
“えっへへー”って、笑ってよ。
“テッテレー”って、ヘンテコな挨拶をしてよ。
ウソだ。ウソなんだ。
ウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだ。
穂村「あ、あああああああああぁぁぁぁぁ!」
頭の中が赤く塗り潰された。
怒りと憎悪と憎悪と怒りと怒りと憎悪と怒りと怒りと怒りと憎悪と憎悪と怒りと憎悪と憎悪と怒りとで、すべてを殺してやりたくなった。

横暴院さんが、そんな私の手を引き開発室に飛び込んだ。
横暴院さんが状況と段取りを簡潔に話す。
襲ってきたのは機関の人間であること。
ファミコンがあればこの窮地を脱せること。
冷蔵庫と携帯電話を改造して作られたタイムマシンはサイズ的に私しか入れないこと。

かくして私はファミコンの発売日にタイムリープすることになった。
殺されたゆりしーを救うため。

電話冷蔵庫(仮)の中に、青白い光。
放電現象が起き始めている!
青白い光はなおも激しさを増す。
足元が激しく揺れ出す。
正太郎の菊門(ショタインザゲート)は開かれた。
私は電話冷蔵庫(仮)に入りうずくまる。
ゆりしー……!
あなたを助けるために、私は、時間を跳び越えてやる……!
だから……!
待ってて……!
すさまじいまでの揺れ。
跳べ――
私の身体よ――
過去へ、跳べ――
横暴院「跳べよぉぉぉぉっ!
横暴院さんが絶叫した直後。

¡¡¡ǝʇɐb ǝɥʇ oʇ buıʞɔɐɥ

世界が、吹き飛んだ――


〜郷愁のパラドックス〜につづく

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※ 問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実際に存在するものを示すものではありません。

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ショタインザゲート 〜枯れた技術のラテラルシンキング〜の情報

問題作成日:2011-11-22
解答公開日:2012-05-22最終更新日:2011-11-25 01:26:59(更新回数:2)
更新内容:


正解率:43% (正解回数:266 解答回数:612)

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