頭の運動

問題No.12889 【推理クイズ】『ヘンゼルとグレーテル』(闇編)

出題者:そうそう◆[e54170a]

お兄ちゃん、もういいよ…私を降ろして…
「何言ってるんだ!もうすぐ、もうすぐ帰れるからな…!」
…日の光さえ届かぬような、深くて暗い森の中。
3日3晩さまよったボクらの命は、風前の灯だった。

ボクの名前は、ヘンゼル。一緒にいるのは、妹のグレーテルだ。
ボクと妹、父と母と、4人で森の外れの一軒家で暮らしていた。
家は貧しく、母は意地悪だけど、父はボク達を庇ってくれたし、
妹と力を合わせて、なんとか日々を送っていた。

ある日。父が急に「森へピクニックに行こうか」と言い出した。
見え透いた嘘だ。父の魂胆は分かっている。いや、父ではない、
背後にいる母親の魂胆だ。母はいつも「産まなきゃよかった」が
口ぐせで、ボクや妹に暴力をふるっていた。ボクが妹を庇うと、
より酷い仕打ちを奮うのだ。

…ここ最近の飢饉で、口減らしに子供を捨てる親も増えている。

「森の魔女が子供たちをさらっていく」「魔女の家はお菓子の家
で、子供たちは勝手に家出して、そこで平和に暮らしている」


大人たちの、勝手な言い訳だ。本当のことは、ある程度大きな
子供は分かっている。(グレーテルは信じているみたいだが)

とうとう、ボクたちもその対象となったわけだ。
だけど、簡単に捨てられるつもりはない。森へ入る途中途中に、
お昼ごはん用のパンをちぎって撒いてきた。これを辿れば、
家に帰るのは難しくはない。

…はずだった。父が「薪を取ってくる」と言って立ち去った後、
こっそり後をつけたところまでは良かった。見失わないように
必死で追いかけたが、森に慣れた父親の足には敵わない。

結局、途中で撒かれてしまった。目印のパンを探してみると…
まったく、見当たらない!ひょっとして、行きとは違う道を
使ったのかも…あるいは、パンが鳥に食べられてしまったか。

こんなことなら、河原で白い石でも拾っておくべきだった。
いや、急に「森へ行こう」などと言い出したのは、そういう
対策を立てさせないためだったのかもしれない。

それから、3日3晩。同じ所をグルグル回っているような気がする。
空腹も限界だ。こんなことなら、あのパン、食べときゃよかった…

とうとう、空腹に耐えかねて、そこらに生えてるキノコや木の実に
手を出してしまった。…これがまたいけなかった。眩暈はするし、
吐き気もする。グレーテルは、もうまったく立てなくなってしまった。

目が霞む…もう、どこを進んでいるのかもわからない。
足に草や枝が絡みつく。獣道ではなく、道なき道を進んでいるようだ。
…もう、痛みの感覚すらない。だんだん、どうでもよくなってきた。
世界がぐにゃぐにゃ歪み始める。…ああ、もう、死んじゃうのかな?

…突然、視界が開けた。

月夜に、家が照らされている。あれは…?

「あ…お兄ちゃん…えへへ、お菓子の家だぁ…♪」
お菓子の家?妹を降ろして、霞む目をこすって良く見てみる。
ぼんやりとした視界に映ったのは、お菓子やレープクーヘン
(ジンジャーブレッド)でかたどられた、お菓子の家だった。
「えへへ…クッキーに、ビスケット。花壇にはタルトもあるや。
地面はガトーショコラだし…わぁ、よだれが出てきたぁ」
グレーテルは、呆けた顔をしながら、家に近づいていく。

ふと、家の中から肉を焼くようないい香りがしてきた。
「うわぁ…お菓子も良いけど、ごちそう、食べたいなぁ…」
グレーテルは、無防備に家の中に入って行こうとする。

「待て…!ここがお菓子の家なら、魔女が…!」
慌てて、妹を追いかける。

家の中に入ると、そこには…


魔女が、いた。

「いやぁあぁあぁあ!」妹の悲鳴が響き渡る。
「助けて、助けて! 近寄らないで!」
悲鳴を上げるグレーテル。ふらつきながらも、妹を
守ろうと、ボクは魔女の元へと向かう。

「おまえたち、どうやってここへ…?まぁいい。弱って
いるようだし、かまどにくべてしまえばいいさ!」

魔女は恐ろしい形相をしていた。いやだ、怖い、怖いよ…!
妹を守らなきゃいけないのに。なぜか、力が入らない。
空腹や、キノコで弱っていたせいもあったかもしれない。
ボクは、魔女に引きずられるまま、かまどへと近づいて行った。

その時だった。
グレーテルが、魔女へと体当たりをした。
「…お兄ちゃんに、手をだすなぁあぁあ!」
不意を打たれたのだろう。魔女はよろけ、バランスを崩して
かまどへと転がり込んだ。

「ぎゃああああああ!」

魔女の悲鳴が響き渡る。
魔女は必死にかまどからはい出そうとする。
僕とグレーテルは力を合わせ、魔女を火かき棒で押し込み、
かまどの蓋を閉めた。

…魔女の断末魔が聞こえる。ボク達は力尽き、意識を失った。

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さて、この物語には、ある真実が隠されています。
それは、魔女の家の正体に関わることです。
それを表す言葉を、漢字2文字でお答え下さい。
なお、文中より一文字ずつ抜出し可能です。


『天才ピアニストの残したもの』(ヒント追加)
「人魚姫は笑わない」 「●●売りの少女」(ダーク系)
「ヘンゼルとグレーテル」(明るいほう)もよろしく!


※ 問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実際に存在するものを示すものではありません。

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『ヘンゼルとグレーテル』(闇編)への最新コメント

[99712] (無題)
 投稿者::そうそう◆[4702b7c] 投稿日時: 2010-10-31 05:42:28
>ふらっとさん
滑り込み挑戦ありがとうございます^^

実際の物語も、その裏には暗い時代背景があるようです…
[99623] 黒い
 投稿者::ふらっと◆[af9009e]#[正解者] 投稿日時: 2010-10-28 11:15:23
一発正解を頂くも、これは自分の考え方が歪んでいるからなのかと、ちと考える。
[98177] ありがとうございます
 投稿者::そうそう◆[14db773] 投稿日時: 2010-09-05 10:07:46
>コレユキさん
ありがとうございます。いちばん、励みになります^^

>エラたんさん
ひらがなでの、真ん中の字がちょっと違ったのかな?
文から抜出したほうがよかったのかもしれませんね;^^

>yummyさん
元の話も、けっこうコワイですよね〜…。
[97950] なるほど〜
 投稿者::yummy◆[57d6e02]#[正解者] 投稿日時: 2010-08-28 16:46:38
なんとか正解できました。
この物語をほとんど忘れていたので調べたら
怖いお話だったんですね。
[97598] 漢字を・・
 投稿者::エラたん◆[b079d26]#[正解者] 投稿日時: 2010-08-21 08:43:28
 これかな〜ってのはあったんですが(実際これが答えだった)、漢字がちがうな〜と思って、しばらくさまよいました。ためしに、最初に思った答えをひらがな入力して、変換したら・・・あれ?私の想像していた漢字とちがう・・。漢字から勉強しなおさないといけないな・・と;;


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『ヘンゼルとグレーテル』(闇編)の情報

問題作成日:2010-08-02
解答公開日:2010-11-02最終更新日:2010-08-02 08:37:29(更新回数:6)
更新内容:
--------------------
2010/08/02 (Mon) 07:06

正解率:10% (正解回数:208 解答回数:1986)

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