問題No.12204 【推理クイズ】「●●売りの少女」　後篇

出題者：そうそう◆[14db773]

「●●売りの少女」の続きです。

…どうやら、追ってこないようだ。外は静まり返っている。私は震えていた。
恐怖は収まったけど、汗や濡れた服が冷えて体温を奪う。
なにより、長時間外で風雪にさらされ、手足の先はもう感覚がなくなっていた。
（このままじゃ、凍え死んじゃう…！）何か燃やす物は…と周りを見渡すが、暗くて何も見えない。
見えるのは、自分の抱えているマッチだけ。

売り物に手を出すのは、躊躇われた。でも、そうもいってられない。
「おじいちゃん、ごめんなさい」そう言いながら一本だけ火を点けてみた。が、それでも暗くてよく見えないし、まったく暖まらない。（…仕方ないよね。このままじゃ死んじゃうもの）
そう自分に言い聞かせながら、籠の中のマッチ箱に火をつけた。
さっきより大きい火が、私を照らした。暖かい。でも大事な商品を燃やしてしまった後悔の念から、涙がにじんできた。（おじいちゃん、おばあちゃん、ごめんなさい…）

ひざを抱えて火を眺めていると、誰かから急に声をかけられた。「気にすることはないさ」（えっ？）
涙で滲んだ視界の先に、ぼんやりと浮かび上がる優しそうな笑顔。（…おじいちゃん、おばあちゃん…？どうしてここへ…？）意識が朦朧としている。よくわからないまま、目の前の二人にすがった。
（私を許してくれるの…？）　「…本当にそう思うのかい？」　（えっ？！）
「マッチ１箱も売れなかった上、商品に手を付け、しかも全部燃やしちまうなんて！ろくでもない娘だよ、お前は」（だって、寒くて…）　「なぜ、周りをもっと探さなかった？…マッチを燃やしたのは、私たちを試そうとしたからだろう？」　（！！ち、違…）
「ばあさんや、あまり責めてやるな」　（おじいちゃん…）
「こいつは将来美人になる。高く売れるんだから、大切に育てないとな！」（！！！）

「…はっ！ハッ、ハッ…」気付くと、やはりここには私しかいなかった。い、今のは…
ふと火を見ると、半分焼けたマッチ箱に、何か入っているのが見えた。あれは…。私は、端のほうのまだ燃えてないマッチ箱を取って、開けてみた。奥に何か入っている。
（これは…そうか、そうだったんだ。今のは幻、でも、たぶん現実…）
…私の中で、何かが壊れた。あたりを見回すと、ここは廃材置き場らしく木切れや油瓶等が乱雑に積んであった。それを片っ端から火の中に投げ込む。パリン！油瓶が割れると、炎が辺りに広がる。
「あは…あはははは！」箱の中に入っていたものは、私の最後の良心を奪ってしまったのかもしれない。―燃えてしまえばいい、何もかも。燃え上がる炎は、怒り？憎しみ？

でも心裏腹に、私の目からはとめどなく涙があふれてきた。（…そうよ、最初からわかってた。普通マッチは５万で売れないことも、怖い人が誰かも。…ううん、知ってて知らないふりしてた。二人にとってイイ子でいたかったから。だから、学校終わったら手伝いをしたり…嫌われたくなかった。でも…マッチを燃やしちゃったり、こんな火遊びしたり…悪い子になっちゃったね、私）
（…でも、そうか、前と変わんないや。だって、今は■■■で、▲▲の手伝いをしてしまってるんだもの…）

私は、本格的にどうでもよくなって、地べたに寝転んだ。もう、このまま眠りたい…。
…夢の中で私は、いつもの優しいおじいちゃんとおばあちゃんに会っていた。あったかいごちそう、ケーキもある。…夢でもなんでもいい、このまま…。

彼女は、最後に残っていた良心を失い、物語の主人公の資格を奪われてしまいました。その原因、かつ結果となる、箱の中に入っていた物の名前をお答え下さい。

例：希望


※　問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実際に存在するものを示すものではありません。

「●●売りの少女」　後篇への最新コメント

挑戦ありがとうございます！

多分、●●の一種まではわかってるのかな？
そこまでいけば、あとは悲劇の女主人公と合わせて考えれば…

うう…分かりません。

ちょっとひらめいたんですけど…。

ヒントみてもぜんっぜンだめでした＾＾；

もうちょっと粘ってみます！


　　　　　　　　　　　　　　　桜

問題作っているうちに、ほのさん好みのオチになったな〜と思ってました。
（下に書いたように、愛を捨てて…の解釈も捨てがたかったですが）

ちなみに●●について調べるうちに、別解が作れることに気付きました。
そのうちに問題としてアップしたいと思います。

思わずうちの娘の末路かと･･･(^^;)。（ｲﾗｯｼｬｲﾏｾ〜ﾝ。ｲﾗｯｼｬｲﾏｾ〜ﾝ。あれ、どうしてお客さん来ないのかな･･･ｲﾗｯｼｬｲﾏｾ〜ﾝ。←親が相手せずににクイズやってるとこんな風に嘆いてます。）これも倉橋由美子の本を思い浮かべてしまう、素敵な（？）お話でした。こういうの好きなのに、長いので読めなくて、今初見でした。重なり具合が何とも上手い！素敵です。削除1234

＞yummyさん
固有名詞のところで苦戦されたかな？
＞キョンシーさん
文章読むのも大変でしたね；＾＾お疲れ様でした！

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「●●売りの少女」　後篇の情報

問題作成日：2010-05-12
解答公開日：2010-08-12最終更新日：2010-07-04 15:46:50(更新回数：32)
更新内容：
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2010/07/04 (Sun) 15:45　ヒント追加しました。
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2010/05/13 (Thu) 14:22　解説の一部変更。ヒント追加しました
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2010/05/13 (Thu) 08:42　ヒント追加しました。
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2010/05/12 (Wed) 15:09　解説文内の問題他、一部訂正
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2010/05/12 (Wed) 13:31　解説文内の問題、一部訂正しました
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2010/05/12 (Wed) 12:18


正解率：11%　（正解回数：310　解答回数：2814）

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